14 11月 11
それは結局、仕事の成果で自分の『評価』が決まるから、なのだろう。競争心の強い人にとっては、他人との比較で優位になるために。自負心の強い人には、『自己評価』で高位になるために。つまり、仕事を通じて“自己実現”を目指そうとするから、感情まで打ち込むのだろう。お金よりも強い、自己実現の欲求。そして、それでこそ、最高のパフォーマンスを生み出せるのだ、とのたまう人事コンサルタントも多い。

だが、本当なのだろうか。わたしがPMOとして過去何年間にわたってやってきたのは、“誰がやっても及第点がとれるマネジメント・システム”の構築だった。工場を作るときに考えるのは、労働者の個人的技能に頼らない、一定品質をうむ生産ラインだ。およそ、技術というのは、移転可能な、誰がやっても同じ成果を出せる手法のことではなかったか。つまり、会社組織というのは、各個人が部分品のように「交換可能」な状態になる方向に、努力し進化しているのではないか。

だとしたら、(わたしがオーナー経営者でもない限り)会社の仕事だけに自己実現を賭けるのは間違っているのである。会社は必ず、社員の自己実現の欲求を裏切る方向に進化していく。そうでなければ、今度は会社自体が競争から脱落していくはずである。会社は“自分探し”の場所ではない。そこはお金と引き替えに仕事をする場所だ。だからこそ、仕事に心をつかってはいけない、という格言が生きているのである
タイム・コンサルタントの日誌から : 仕事に心をつかってはいけない