01 4月 10

8.   『新文化』(3月4日)で、くまざわ書店の熊沢健会長がインタビューに答えている。くまざわ書店の昨年度の売上高は424億円で、196店舗を有する。彼の発言を要約してみる。

*既存店の売上の減少もあり、どの立地にしても今後書店売上がよくなるとは思えないし、好条件の出店物件も少なくなっている。
*プラスゲオといった複合店は一切やるつもりはない。
*開店時商品はすべて3~5ヵ月延勘のために、閉店時には返品すれば、キャッシュに換えられる。
*もう成長させようとは思わない。少しずつ縮小していく。既存店売上はマイナス5%で、これは年間10店閉めているのと同じだ。3年連続して5%落ちたら、85%になってしまい、黒字だった店舗の大半が赤字となる。そのような時代だという認識を持たなければならない。
*店長の7割が女性である。
*責任販売に関しては現在の書店とマージンでは無理で、人材もいないし、コストもかけられない。不特定多数の客層を相手にする店売では、最終販売冊数を予測できない。

[ 熊沢健は1960年代からのくまざわ書店の出店戦略を担い、現在まで成長させてきた人物ゆえに、書店からの発言として、最もシンプルで透徹したものだと判断できる。しかも01年売上高322億円、128店舗からさらに成長させてきた経営者の発言だからでもある。
 出店が飽和状態に達したこと、雑誌の凋落、アマゾンなどのネット通販の成長、ブックオフの再編などを冷静に観察し、書店事業の縮小を必然的に受け止めているのだろう。
 それがくまざわ書店に可能なのは長期に及ぶ開店口座がないためで、開店時商品を3~5ヵ月延勘で処理している書店は他にないように思われる。だから堂々 と縮小未来図も語れるのである。しかもレンタル事業にもほとんど手を染めていなかったことも、再販委託制下の書店における在庫メカニズムを熟知しているこ とによっているのだろう。責任販売についての発言も、かつては外商活動に従事していた経験も反映されていて、ナショナルチェーンへと移行した時に起きる書 店の変貌もはっきり認識しているのだとわかる。
 これまで様々な出版社、取次、書店の発言を紹介してきたが、その中でも最もリアルで群を抜いた発言と分析で、やはりできる人、見ている人はいるものだという感慨を抱かされる  ]

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