19 5月 10
あまり細かなテクニックを言っても気になるだけかも知れないが、面接では、先ず、「相手の言語」に素速く且つ 最大限合わせることに注力すべきだ。— これから面接に臨む学生のために - 評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」
面接官が使う言葉のスピードや響き、語彙の傾向などを把握して、なるべくこれに合わせようとするだけでも印象が違う。
これは、一般的なビジネスにもいえることで、たとえば相手が使う外来語の頻度やレベルなどを素速く把握して、相手のボキャブラリー・セットに合わせて話 すと効果的だ(たとえば、相手が外国語に興味を持っていないのに、原語の発音風のカタカナ語を会話に混ぜると、「有能すぎるバカ!」だと思われて上手く行 かない)。
そして、最初の二、三分で面接官が得た印象がその後の話によって大きく変わることは稀だから、最初に集中しよう。
面接官の質問の意味を正確に聞き取って、これに答えることが大切なのはいうまでもないが、面接官にも話をさせるように仕向けるといい。聞き役ばかりを続 けているのは、結構疲れるものだから、自分も少しなら話をしたいと思っている面接官は少なくないはずだし、相手に対する興味や敬意を表すには質問が効果的 な場合がしばしばある(勿論、次から次へと質問するのは「やり過ぎ」だ)。
面接官が気持ちよく話すことのできる話題に持ち込むことができればラッキーだが、やりとりのテンポが良ければ、無理をする必要はない。
最近の就活事情は詳しく知らないが、訪問先の会社については、ホームページで分かる程度の予備知識で十分だと思う。知らないと誠意を疑われるような常識 的なことは知らないとまずいが、細かな業務内容や制度については知らなくてもいいだろう。新卒採用の場合、会社側は「素材」を採るという意識のはずであ り、細かな知識は求めていないはずだ。
ほとんどの場合、相手が欲しがるのは「(自分の言うことをよく分かる)感じのいい部下」だ。「僕は感じのいい部下になりそうだから、面接官はきっと気に 入るだろう」と自己暗示をかけて、「やっぱりそうだ!」という気分で相手の目を見て、相手のテンポに合わせて話を始めよう。
面接の時間はあっという間に過ぎる。
私は新卒の面接をそうたくさんやったわけではないが、質問のパターンをほぼ決めていた。
(1)学生時代は何を専門に勉強されたのですか?内容を分かりやすく説明して下さい。
(2)当社を志望された理由は何ですか? 他社と比較して当社のことをどう思いますか。
(3)もし当社に入社されたら、どんなことがしたいですか?
基本的な質問内容はこの三つだけだ。
質問(1)に的確に答えられるかどうかで、採否に必要な情報の8割は分かる。自分が勉強した内容を、分かりやすい言葉で大人に説明できるのはかなり頭の いい学生であり、この意味で頭のいい学生は、問題達成に対する意欲が高いので、有能な社員になり得る。相手が学生といえども、クイズを出題して頭の良し悪 しを探る、というのは相手に対して失礼というものだろう。クイズなど出さなくても、話を聞けばビジネスに使う種類の頭の良し悪しは十分分かる。
質問(2)は、学生の志望動向に関する情報収集(内定を出したら、採用できるだろうか?、どこと競合しているのだろうか?)と、「社会性」のチェックを 兼ねている。第二志望だろうが、第三志望だろうが、(嘘が交じっても)破綻のない理由を的確に言うことができるかどうか、を確かめている。
質問3は、敢えていえば「意欲」のチェック項目だが、学生は、まだ社員として働いたことがないし、会社の中についてよく知らないはずだから、感心するよ うな答えが返ってくることを期待してはいない。こうした無理な質問にどう答えるかで、学生の意欲や工夫の上手下手がある程度分かる。ここで、話を上手にで きる学生は、意欲があるのと共に、かなりコミュニケーション能力が高いといえる。
基本的には、上記の三つの質問のバリエーションでやり取りして、学生を判断していた。
ちなみに、転職の面接の場合には、「(主に「今の」だが、過去のも重要)会社を辞める理由は何ですか?」が四つ目の(重要な)質問になる。