30 7月 10

――作曲する側としては、画が想像つかないというのは、かなり大変だったのではないですか?

菅野「た だ、ヒントはありました。小栗さんとの打ち合わせで、”導入のシーンに『カウボーイビバップ』の『WALTZ for ZIZI』のような曲が欲しい”とリクエストされたんです。『WALTZ for ZIZI』は、とてもけだるい曲なのですが、そういう曲が欲しいというイメージを聞いて、オープニングは派手に行くというイメージがあったので、珍しい感 性の人だなと思いました。あと”京平のテーマは『ラデツキー行進曲』がいい”ともいわれて……。20代の若者が行進曲は普通持ってこない。小栗さんのセン スは個性的で、観る方の立場に立っているという部分は、サントラの大きなヒントになりました」

――それでも、手探りの苦労はあったのではないですか?

菅野「私 は作業は手探りの方が好きなんですね。監督もわからないから、曲を画に当ててみてはじめて、『なんかちょっと違う』となる。そんなときに、その言葉で言え ない”違いの綾”を探りながら、こういうことが言いたかったんだと音で探していくのが好きなんです。翻訳に近い作業だと思います」

―― では、事前にガチガチに曲のイメージを固められて、『こんな曲を書いてください』というオーダーよりも、そういう手探りのほうが、菅野さんにとって良いの でしょうか? 菅野さんのように、たくさんのお仕事をされていると、依頼の時点で、ある程度、ゴールの読める曲作りというのもあると思うのですが。

菅野「ど ちらが良いということはないのですが、感じていることの『ちょっとの違い』を埋めていくやり取りという面白がれるポイントがあるのが好きなんですね。先の 読めない作品に関わることって、偉くなってくると少なくなるんですよ。偉くなると、絶対にはずさないことを期待されるし、デモテープでこれで行きますと関 係各位全て根回しされてから作る事が多いんです。『菅野さんなら、きっとこんな曲を書いてくれるだろう』と夢を持たれることも多いですし(笑)。今回の映 画は若者たちが主演の青春映画でバンドが出てくる話ですが、今風のバンド曲は求められていなかったし、手探りでゴールが読めない現場は楽しく新鮮でした ね」

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